2011年5月20日金曜日

投資効果を最大化するための“仕組み”とは?

 2010年度に入って、再びIT投資に乗り出す動きが高まりつつある中、“IT投資を最適化する”プロジェクト?ポートフォリオマネジメント(以下、PPM)が多くの企業の関心を集めている。だが、ビジネスの状況や業務部門からの要請に応じて、半ば“場当たり的に”IT投資を行ってきたケースが多く、そのノウハウがないために、PPMに関心を持ちながらも本格的に乗り出せていないケースは多い。
 では、PPMを実践するためには具体的にどのような取り組みが求められるのか?――2010年7月15日、PPM支援製品の最新版「CA Clarity PPM On Demand」をリリースした、CA TechnologiesのPPMオンデマンド営業部 シニアコンサルタント 澤野信彦氏に、PPM実践のポイントと、製品がそれをどのようにサポートするのか、具体的な話を聞いた。
●全投資案件を評価し、実行をモニタリングする「仕組み」が必要
 投資効果を最大限に高めるために、全投資案件を一元管理し、全社戦略に基づいて案件の取捨選択を行い、投資の優先順位を決める――PPMの基本概念を一言で言ってしまえば実にシンプルだが、その実行となるとなかなか難しい。まず、CIOやIT部門の下には、社内の業務部門からビジネスの状況に応じて、日
々、複数の開発案件が寄せられる。一方で、業務部門にも案件を提出するだけの狙いや目的がある。
 「CIOやIT部門長はそうした中で、全社戦略との整合性やコストとの兼ね合いを考えながら、各案件を公平に評価し、ステークホルダーが納得できるだけの根拠を示せなければならない。だが、多くの場合、公平に取捨選択して優先順位付けを行い、その結果を明確に説明できるだけの“仕組み”がない。これがPPM実践を阻む大きなハードルとなっている」


 澤野氏はこのように述べたうえで現状の問題を2つに整理する。1つは「業務部門とIT部門の相互理解がない」ことだ。「IT部門から見れば、無作為に要求だけが次々とやってくる。業務部門から見れば『必要な要求に答えてくれない』。これもやはり投資決定に一貫した戦略や仕組みがないことが原因。戦略がない以上、投資決定のプロセスもないため、結果として、場当たり的な対応にならざるを得ない」
 もう1つは、いったん投資を決めたプロジェクトについて、その後の「実行」を確実に管理できていないケースが多いことだ。「多くのプロジェクトは、遅延する、コストが超過する、といった問題に見舞われている。これには全社標準といえるプロジェクト管理体制がないことや、プロジェクトマネージャに対してスタッフから進ちょく状況などが正確に報告されていない、などの原因が挙げられる」
 澤野氏は以上のような課題に基づき rmt レッドストーン
、PPM実践のポイントをより具体的に解説する。1つは「全投資案件の統合管理と、そのポートフォリオ管理」だ。
 「まず、すべての投資案件を統合的に管理することが必要だ。それも『新ビジネスのため』『法規制対応のため』『社内の業務改善のため』など、各案件をタイプ別に整理したうえで管理する。さらに、各案件を評価し、適切に資源を配分するための評価軸を用意する。それに基づいてポートフォリオを作り、全案件を見渡す総合的な見地から投資案件の取捨選択?優先順位付けを行う」
 もう1つは「採用した案件の確実なプロジェクト管理」だ。これには「全社共通の管理プロセスの制定/社内外の人的リソースの負荷を把握?平準化する総合的なリソースマネジメント/コスト超過、スケジュール遅延といったリスクを早期に発見できる体制作りなどがカギになる」という。
●評価の根拠を可視化し、プロジェクトの確実な進行を支援
 では、こうした要件は、具体的にはどのように実践すればよいのだろうか? 澤野氏はCA Technologiesが7月15日にリリースした「CA Clarity PPM On Demand」の機能を基に、PPMの在り方を説明する。
 「CA Clarity PPM On Demand」は同社が従来から提供してきた「CA rmt Final Fantasy XI
Clarity PPM v12」の機能を拡張した製品で、以上の要件を機能として確保しているほか、導入期間の短期化?運用コスト低減を狙い、クラウドサービスとして提供する点を特徴としている。クラウドサービスという提供スタイルのため、「ブラウザ上での操作感に配慮しUIを改善」したというが、「やはり最大のポイントは、従来製品から継承しているIT投資管理機能、プロジェクト管理機能、またPPMをより適切に実践できるよう今回新たに追加したライフサイクル?マネジメント機能にある」という。
 まず「IT投資管理」については、前述のように、全案件を『新ビジネスのための案件』『法規制対応のための案件』といった種類別に整理して一元管理できる。そのうえで、各案件の優先度、重要度を、ポートフォリオ上でビジュアルに表示?比較できる仕組みとしている。


 その際、各案件の評価軸として、ビジネス軸(企業戦略との整合性/事業に対する影響度/生産性向上など)、財務軸(売り上げの増加率/必要なコストなど)、リスク軸(ビジネスリスク/プロジェクト管理リスクなど)、法規制軸(内部統制/説明責任/情報漏えいなど)などの指標が考えられるが、同製品はこうした各指標と、各指標を測るための評価細目を組み込んだ“テンプレート”を用意。その中から、各案件の評価に最適なものを選び、必要なデータを入力することで、各案件の重要度を効率的に可視化できる仕組
みとしている。むろん、自社の状況に合わせて任意の評価軸を定義することもできる。
 2つ目の「プロジェクト管理」については3つの特徴がある。1つはプロジェクトのパターンをテンプレート化したものを用意していること。これにより、案件の規模?種類に最適なスケジュール(WBS)、チーム構成、成果物の種類とフォーマットといったプロジェクト実行に必要な体制を、プロジェクト発足のたびに一から考えることなく、テンプレートから選んで迅速に整備できるという。むろん、自社における過去のプロジェクトのパターンもテンプレートとして登録できる。こうしてプロジェクトの実行パターンを整備することで、「プロジェクトの在り方を全社で統一できる」メリットがあるという。問題になりがちな「人的リソースの調整」についても、あらかじめ登録した社内外のリソースの中から、スキルセット要求に基づいて最適な人材を検索?配置可能とした。
 2つ目はプロジェクトの実行フェーズにおいて、現場で入力されたデータに基づいて、プロジェクトの進ちょく、コスト、品質などの状況を、プロジェクトマネージャが視覚的かつ正確に把握?管理できること。さらに、関係者間で必要な作業情報を共有でき、これが「作業ミスなどを減らし、計画通りの進ちょくを支援する」という。
 そして3つ目は、同時進行している各プロジェクトの状況を、CIOが“ポートフォリオの観点から”視覚的にチェックできること。



 具体的には、各プロジェクトについて、ポートフォリオ上の優先順位を加味したうえで「スケジュール」「工数」「コスト」といった軸で状況を評価し、それぞれの状況を「青/黄/赤」の3種類のアイコンで一覧表示する。これにより、CIOは対策が必要なプロジェクトを早期に発見できるという。
●PPMとは、適切な投資判断ができる部門へと成熟を果たすこと
 ただ、澤野氏が最も強調するのは、「各案件のライフサイクルを通じた管理」の重要性だ。氏は「PPMは各案件の計画と、その実行結果をモニタリングして、次のより良い案件立案?投資計画につなげる“継続的改善”を実現することに大きな意義がある」と指摘する。


 今回追加した「ライフサイクル?マネジメント」機能もそうした考え方に基づいた機能だ。具体的には、各案件の「登録」「選定」「計画」「実行」「管理」といったライフサイクルの各ステージと、各ステージで入力すべきデータ項目をクラウド上で任意に定義できるほか、その設定後はステージの進ちょくに沿って、管理画面と入力すべきデータ項目が自動的に切り替わることで、より適切?確実な管理を促す仕組みとしている。
 「IT投資は“決定したら終わり”というものではない。“場当たり的なIT投資”という課題も、各案件をライフサイクルを通じて管理し、こうした継続的改善が実 Lineage rmt
践できて初めて真の解決が狙える」
 “場当たり的なIT投資”を改善し、より良い案件立案?投資計画を実現する――これはまさしく、ビジネスに対する理解に基づき、適切な投資判断ができるIT部門へと“成熟”を果たすことにほかならない。ただ、これまで投資を最適化するための仕組みがなかった状況の中で、ここまで実践するのは現実にはなかなか難しいのではないだろうか。
 この問いに対し、澤野氏は「確かに難しい課題だが、こうした支援ツールが“投資の優先順位を決める科学的な仕組み作り”を後押しできることは間違いなく、IT部門を成熟へと導くきっかけになるはずだ」と解説。また、同社製品の場合はクラウドサービスとして提供するため、「運用上の負荷を考慮することなく機能の活用に集中できるほか、自社の管理方法に合わせてシステムをカスタマイズできることから、取り組みに乗り出すハードルを引き下げられるはずだ」とも付け加える。
 「PPMはIT投資額が大きな大企業ほど効果が望めるため、現在、実践に乗り出しているのも大企業が中心だ。しかし、投資効果の最大化はあらゆる規模の企業にとって普遍的な課題でもある。実際にPPMに対する認知度は着実に高まり続けており、IT関連企業のほか、製品開発の優先順位付けにPPMの概念が求められる製造業からも問い合わせをいただいている」
 澤野氏は最後にこのように述べ、リーマンショック以降、コスト意識も高まっている
中で、「今後多くの企業にとって、PPMは必須の課題として認識されていくのではないか」とまとめた。

引用元:RMT

2011年5月6日金曜日

日銀審議委員がデフレ脱却効果を疑問視、財政との関係で議論必要?

 [山形 1日 ロイター] 日銀の須田美矢子審議委員が1日山形市で講演?会見し、基金による金融資産買い入れを柱とする包括緩和政策のデフレ脱却効果に慎重な見方を示し、2011年度も消費者物価指数(除く生鮮、CPI)のプラス転換は難しいと述べた。

 特に国債の買い入れ増で長めの金利低下を促しても効果は限定的なうえ、財政ファイナン ASTARIA RMT
スに近づいた懸念を呼ぶと強調した。しかし、先行きの景気動向次第で、日銀は基金の増額を検討せざるを得ない可能性がある。基金による国債買い入れと財政ファイナンス懸念について今後、議論を深めていく必要がありそうだ。

 10月末に日銀が公表した「経済?物価情勢の展望(展望リポート)」によると、11年度CPIの政策委員の中心的な見方は 聖境伝説 RMT
0.1%のプラスに転換する見通し(10年度見通しはマイナス0.4%)。しかし、市場予想と比べ、高め?楽観的との指摘があり、白川方明総裁は、包括緩和政策の効果を織り込んでいるかどうかが違いの原因と説明していた。須田委員は、包括緩和の効果がすぐに物価上昇にはつながらないとして「マイナスから脱却できる蓋然性は高くなく、デフレ脱却へ向けて トリーバーチ 靴
の改善にも時間がかかる」との見通しを示した。

 須田委員は包括緩和について、効果は限定的としつつも、基金の増額を行うのであれば民間経済活動の呼び水としてリスク性資産の多種多様な買い入れが望ましい、とした。ただ、リスク性資産の購入で日銀が損失を被れば結果的に国民負担につながる、として基金の拙速な拡大には批判的だ。デフレ脱却に ミネトンカ
は民間部門の活動や政府の政策が主眼であり、金融政策のなし得ることの限界を指摘した格好だ。

 今回の須田委員の発言から、日銀の今後の政策運営を読み取るのは難しそうだ。直近の為替市場では円高傾向が反転し、株式市場も堅調に推移しているが、日銀の一部では来年以降に米国が量的緩和第2弾(QE2)のさらなる拡大を検討する可能性も否定で
きないとの見方が浮上している。日銀が2001年3月から06年3月まで5年にわたって採用した量的緩和政策について、日銀では「景気や物価に与える効果は限定的」(須田委員)と見ているものの、一部の日銀関係者は、米FRB(連邦準備理事会)内で、日本の量的緩和は量が不十分だから効果が少なかった、としてさらなる追加緩和に踏み切ることを警戒する


 日銀内では、須田委員が否定的な国債の買い入れ増による基金拡充に柔軟な見方もある。政府内では、不動産投資信託(J─REIT)など日銀が購入対象とするリスク性資産の市場規模の小ささを挙げ、基金は「実質的に国債買い入れ基金」と指摘する声もある。基金拡充を想定しつつも、財政ファイナンス懸念を呼び起こし、通貨の信認が揺らぎかね
ない包括緩和策について、日銀内でも今後の運営方針について意見はさまざまだ。須田委員は、2011年3月で10年の任期を終える。須田委員の在任中に、こうした包括緩和策と財政との関係について議論を深めていく必要がありそうだ。 

 (ロイターニュース 竹本能文記者;編集 内田慎一)

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引用元:nexon ポイント RMT